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OMOP対応

(国がん東)

臨中ネットデータベースの国際化に向けた取り組み

  • これまでの活動

    これまで私たちは、将来的な国際共同研究の展開を見据え、OMOP CDMの調査を行い、日本の診療情報を国際標準に接続するための準備を進めてきました。一部の施設では電子カルテ(EHR)データをOMOP CDM形式に変換し、診療コードをOMOPで利用されるコード(RxNormLOINCSNOMED CT等)へマッピングする実証も行いました。加えて、OHDSIが提供する各種ツールの機能やセットアップ手順についても整理し、誰でも利用できるようWebサイト上で公開しました。今後は、この知見をもとに複数施設へのOMOP CDM適用を進め、日本のリアルワールドデータを国際研究の現場で活用できる基盤づくりを進めていきます。

  • OMOP CDMとは

    OMOP CDMObservational Medical Outcomes Partnership Common Data Model)とは、保険請求データや電子カルテなどさまざまな診療情報を共通の構造と用語に統一するための国際標準のデータモデルです。異なる形式のデータでも、OMOP CDMに変換することで一貫した形式で蓄積・解析できるようになります。
    OMOP CDMは世界的に利用が広がっており、OHDSI(オデッセイ)という国際コミュニティを通じて54か国、544以上のデータソース、約9億人分の患者データが標準化されています。

システム基盤OMOP対応チームの取り組み

臨中ネット事業は、日本の医療DXが掲げる方向性に沿って、臨中ネットデータベースの構築を進めるとともに、国際標準である OMOP CDMCommon Data Model 形式への変換に取り組んでいます。これにより、国内におけるデータ標準化と、国際的なデータ活用の両立を実現することを目指しています。
このOMOP CDMへの対応を円滑に進めるため、「システム基盤OMOP対応チーム」 が発足しました。本チームでは、主に以下の3点を中心に活動しています。

  • 1.国内コード体系の標準化

    日本で用いられる診療情報のコードをOMOPで利用されているコードへ変換します。例えば薬剤のYJコードはRxNormRxNorm Extensionに、検査項目のJLACLOINCSNOMED CTにマッピングするといった作業です。

  • 2. 臨中ネットデータベースのOMOP CDM化

    臨中ネットデータベースのデータ構造そのものをOMOP CDMに準拠した形式へ変換します。これにより、各病院のデータが内容・構造の両面で国際的に互換性のある形式になります。

  • 3.OMOPデータを用いた解析環境の整備

    OMOP CDM化したデータを活用するためには、OHDSI提供の解析プラットフォームATLASや統計ソフトウェアRを用いたプログラムを利用する必要があります。本チームでは、これらのツールを容易に利用できるよう、解析環境の整備を行っています。

システムの全体像

OMOP CDMへの変換による利点

  • 国際的な互換性の向上:

    日本のデータが OMOP CDM に準拠することで、海外の研究ネットワークと共通基盤でつながり、国際共同研究やグローバルなデータ比較が可能となります。これにより、日本発のデータを国際的な文脈で活用できる機会が大幅に拡大します。

  • 製薬メーカーとの連携強化:

    OMOP CDM は、世界中の製薬企業や研究機関でも広く利用されています。この形式に対応することで、国内外の製薬企業とのデータ共有や共同研究が容易になり、創薬研究、リアルワールドデータ解析が進めやすくなります。結果として、製薬業界との連携がより強固になります。

  • 既存ツールの活用による再利用性の向上:

    OMOP CDM には、ATLAS をはじめとする OHDSI 製アプリケーションや、HADES などの分析パッケージといった豊富な解析ツール群が揃っています。これらを活用することで、一度作成した解析手順やプログラムを他施設へ展開しやすくなり、分析プロセスの標準化・効率化が可能となります。

今後への期待

臨中ネットDBOMOP CDM化は、日本の医療データを世界標準の形で活用するための大きな一歩です。本取り組みにより、各病院の電子カルテ由来データが国際水準で比較・解析できるようになり、多施設共同研究のスピードと質の向上が期待されます。さらに、標準化データに基づくエビデンス創出が進むことで、将来的には診療や公衆衛生の改善にも寄与すると考えられます。今後、参加病院の拡大とOMOP CDM活用の深化により、日本発のリアルワールドデータ研究が国内外でますます活発化していくでしょう。